起業を目指す料理人たちの、
夢の0→1をサポートする。
松下:わあ、懐かしいですね!店舗のコンセプトもレイアウトイメージも、まさにこの通りのままですよ。損益計算書だって、今もこれをベースに使わせてもらっています。
鬼塚:15年程前の、当時の店舗計画書です。飲食店を開業される方向けのセミナーを弊社で開催したときにご参加いただいたんですよね。
松下:そうです。20代後半の頃にカナダで料理人として働いていたときに“牡蠣”に出会って。産地や季節で味や食感が変わったりと、食材としての奥深さにのめりこんでしまったんです。その後、日本に帰って来て、独立するために動き始めるのですが、何も実績のないところから物件探しや資金調達をするのって本当に難しいんですね。そこで藁にもすがる思いでシンクロ・フードのセミナーに参加して。物件探しのコツや事業計画書の作り方を教えていただきました。
鬼塚:どのエリアがいいのかなど相談させていただきながら、事業計画書を作り直していきましたね。当時はまだオイスターバーというものがそこまで一般的でなかったのですが、松下様の場合は具体的にお店のコンセプトも思い描かれていたので、そのイメージを金融機関や不動産屋さんに伝わるようにカタチにするだけでした。お客様によっては、そもそも出店したい店舗のコンセプトが決まりきっていなかったり、なんとなく居酒屋で出店したいといったお客様もいたりするので、その場合はどんなお店にしたいのか対話を重ねてコンセプトを導き出すところからお手伝いすることもあります。
松下:その後も社員とアルバイトの採用といった求人広告はもちろん、2店舗目の物件探しなどでも力を貸していただきましたね。
伝え方を工夫して、
もっと多くの人たちへ
このお店にしかない
働きがいを届けていく。
松下:コロナで世の中の働き方が変わって、職業も多様化した分、働き手が求めることも多様になりましたよね。その分、採用のアプローチが難しい。お店として積み上げてきた魅力では負ける気はしないのですが、世の中が情報過多になりすぎているので、届けたい働き手まで届かない。
鬼塚:そうですね。最近ではアルバイト採用向けに短い動画の求人広告をtiktokやInstagramで流す「グルメバイトちゃん」という事業をスタートして、採用を進化させようとしたりしています。料理をするシーンだとか、グルメ系の動画ってSNSにたくさんあるのですが、採用に紐づいていないので、それを採用に使おうと。高校生や大学生といった若い世代からすごい反応をいただけていますね。動画を見て、こんなお店で働いてみたいと。
松下:お店も、配膳ロボットがいるようなお店もあれば、お客様との対話を重視しているようなお店もありますからね。この二極化はさらに進んでいくのだろうなとは思うのですが、その中でこの店の良さをどういうふうに伝えればより多くの人が興味を持ってくれるかなど、シンクロ・フードさんと一緒に試行錯誤しながら考えてもらっています。
鬼塚:ちょうどコロナで飲食店の存在意義について世間でも話題に上がっていた頃、飲食業界に携わる私たちの存在意義についてもあらためて社員みんなで考え直しました。食べる、飲む、その時間には、人を幸せにするパワーがあるよねと。それを日本中はもちろん、世界中に広げていきたい。先ほどのグルメバイトちゃんもそうですが、飲食店のみなさんが人手不足で運営がままならなくなって、最終的にお店を閉じてしまっては元も子もないので、採用やそれ以外にも困っていることを解決できる様々な仕組みやサービスにトライをしています。
変わり続ける時代のなかで、
飲食業界から生まれる幸せを
守り続けるために。
松下:昔は、単純に料理で勝負したいから飲食業をやりたいとか、そういうことでもよかったのかもしれない。けれど、時代も変わって目的意識がないと飲食店は生き残ることが難しくなってきたなと感じます。オイスターバーも、一時期どっと増えて、淘汰されていきました。売上や規模ではない部分で、どんな一番を持っているか、どんな目的意識があるお店なのか。僕だったら、やっぱり生産者さんも含めて牡蠣業界を盛り上げていかないといけない。だから、140以上の生産者を集めて行う牡蠣-1グランプリのイベントに参画したり、貝料理についての本の牡蠣部門を執筆したりということもしています。
鬼塚:生産者の後継問題や、牡蠣の生産や品質の可能性を広げるために、業界全体を盛り上げる動きもされているんですね。
松下:飲食店での働き方だって、昔のように毎日ルーティン業務で働き続けていくのは精神的にもきついじゃないですか。ただただ忙しいだけではなく、そこから得られるものがちゃんとあるかどうか。実際に僕のお店を卒業して独立している人も日本全国にいますし、そういった面からも飲食業界を盛り上げることに貢献できていたらうれしいですね。
鬼塚:店舗のことももちろんですが、もっと視野を広く持って、先の飲食業界のことまで考えて工夫されているのだなとあらためて感じました。松下様のように、長くお店を続けられていて、しかも常に進化し続けている。そんな日々挑戦しているお店をもっとサポートできるように、生み出せるように、我々もさらに進化していきます。